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八大明王の獅子をご紹介します

2022.02.11

パラミタミュージアムの大森暁生展、先日無事に会期を終えました。このような社会状況にもかかわらず、たくさんの方にご来館いただき、まことにありがとうございまいした。同展には、「空海の大日如来像再現」プロジェクトより八大明王の獅子を出展いたしましたところ、大勢の方からご好評をいただきました。コロナのこともあって、行きたいけれど行けなかったというお声も頂いております。そこで、八大明王の獅子について個別にご紹介したいと思います。それぞれの解説文は、同展の展示のために私が書き下ろしたものです。五大明王は有名ですが、八大明王についてもこれを機会に覚えて頂き、信仰のきっかけにしていただければと思います。あなたのお気に入りの尊を見つけてください。

総論
弘法大師空海が造った大日如来像について記録した東寺の寺誌『東宝記』には「蓮華座ノ八方ニ八獅子ヲ安ズ」と記されているのみである。今回、獅子を造るに当たっては、空海が密教を学んだ時期に近い唐代の法門寺出土の宝函金剛界曼陀羅(金剛界三十七尊と八大明王を組み合わせた四十五尊曼陀羅)をもとに、密教における八大明王の変化身として八体の獅子を制作した。当時の唐では教令輪身(救いがたい衆生を教化するために如来が憤怒の姿をとったもの)の信仰が盛んであったと考えられている。密教では真言を唱えることにより各尊の加護が得られるとされる。各尊の説明は以下のとおりである。
※順番は正面の不動明王から反時計回り

1.不動明王
梵名のアチャラナータは動かざる守護者の意であり、不動堅固の菩提心を表す。八大明王の上首(リーダー)であり、わが国では「お不動さん」の名でひろく親しまれている。その尊容は、降魔の三鈷剣と羂索を持し、左に辮髪を垂らす、天地眼(片目を半眼にする)、牙上下出(左右の牙を上下に出す)などの特徴がある。救い難い衆生をも力ずくで救うために忿怒の形相をしている。疫病退散・心身守護・除災招福など、あらゆる悪から身を守るご利益がある。三昧耶形(シンボル)は剣。
真言:「ノウマク・サマンダ・バザラダン・カン」

2.大威徳明王
梵名のヤマーンタカは閻魔を封殺するほど強力な者という意味であり、とりわけチベット密教においては極めて重要視されている。その尊容は、通常は水牛の背に乗る六面六臂六足の姿で表される。右手のひとつに宝棒を持つ。敵対する者を調伏・呪殺するための本尊とされることが多く、その信仰はチベットにおいて特に顕著である。わが国では武将などに信仰されてきた歴史がある。三昧耶形は宝棒。
真言:「オン・シュチリ・キャラロハ・ウン・ケン・ソワカ」

3.降三世明王
梵名のトライローキャ・ヴィジャヤは、ヒンズー教の最高神であり三世(過去・現在・未来)の支配者たるシヴァ神に勝利した者という意味である。通常の尊容は四面八臂でシヴァ神とその妻パールヴァティーを両足で踏みつけた姿で表される。貪瞋痴の三毒と煩悩を降伏して人々を悟りに導くはたらきをもち、金剛界曼荼羅においては最も重要な明王である。三昧耶形の五鈷杵は五仏の悟りの獲得を表す。
真言「オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ・ウン・パッタ」

4.歩擲(ぶちゃく)明王
梵名を漢訳した尊名である。わが国ではほとんど信仰されることがなく、造像例も全く見られない。儀軌に十八臂と説かれるも、実際に描かれる尊容は二臂の例が多く、右手に傘蓋を持ち、左手に三鈷杵を持す。普賢菩薩の所変とされ、六道を巡り罪人に菩提心を生起させて悟りに導き、諸々の悪魔等を催伏し退散させると説かれる。三昧耶形は三鈷杵。
真言「オン・キリン・クロン・ボロン・ソロン・ジュリン・ギャク」

5.大笑明王
軍荼利明王と同体とされる。同尊の梵名クンダリは水瓶を意味し、その中に不死の霊薬である甘露を容れるとされ、これを宝瓶と呼ぶ。尊容は蛇を体に巻き付けていることが特徴的である。蛇は強い生命力、とくに性エネルギーの象徴であるとともに、深秘には煩悩即菩提を表す。あらゆる障碍を取り除くともに、さまざまな困難や不幸をもたらす悪魔である毘那夜迦を辟除する功徳があるとされる。三昧耶形は宝瓶。
真言「オン・アミリテイ・ウン・パッタ」

6.大輪明王
尊名はチャクラ(輪)から。弥勒菩薩の所変とされ、その尊名から転法輪菩薩と同体ともされる。悟りに至るためのもろもろの魔や障碍を除き、曼陀羅を成就する尊とされる。歩擲(ぶちゃく)明王と同じく、この尊も、わが国では単独で信仰されることはほとんどなかった。尊容は喜悦した少年の面貌で、右手に八輻金剛輪を持ち、左手に独鈷杵を持つ。三昧耶形は八輻金剛輪。
真言「オン・バザラ・シャキャラ・ウン」

7.馬頭明王
梵名のハヤグリーヴァは馬の頭部を意味する。馬頭観音と呼ばれる場合も多いように、観世音菩薩の所変とされる。馬が草を食べるごとく、衆生の煩悩を食い尽くし、悟りに至らしめる功徳があるとされる。また、その名前から馬に代表される家畜やペットなどの動物を救うとされ、六観音では畜生道の救済を担当する。馬は古来より農耕や畜産のみならず、戦や移動手段にも使われたため、畜産関係者をはじめ、古くは武将、今日では競馬関係者の信仰も篤く、転じて道中安全などの功徳も併せ持つ。尊容は髪の毛を逆立てた憤怒の表情で、頭部に馬の首をのせることが最大の特徴である。三昧耶形は馬の頭部。
真言「オン・アミリト・ドハンバ・ウン・パッタ・ソワカ」

8.無能勝明王
梵名アパラージタは何者も打ち勝つことが不可能の意。釈迦如来あるいは地蔵菩薩の所変とされる。釈尊が菩提樹下にて魔王を降して成道した際の降魔の徳を表す尊格である。したがって、悟りを妨げるあらゆる煩悩の悪軍を打ち倒して悟りに至らしめる働きを持つ。尊容は四面四臂で左手のひとつに鉞斧(まさかり)を持つ。鉞斧は「鉞かついだ金太郎」のごとく、この尊の力強さの象徴であろう。三昧耶形は鉞。
真言「ナウマク・サンマンダ・ボダナン・ヂリンヂリン・リンリン・ジリンジリン・ソワカ」

境内全域にほぼ段差がなく車椅子で全てお参りできます*個別お堂の参拝には段差がございます

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